第三回「“いい音”を聴こう!ピュアオーディオ視聴会」レポート
三回目にして初の快晴!
ということで、前日のゲリラ豪雨はどこへやら、という晴れ渡った空の下(視聴室に窓はありませんが・笑)、イルリメさんを迎えて「“いい音”を聴こう!ピュアオーディオ視聴会」が行われました。
<イルリメ:プロフィール>
ラッパー / トラックメイカー / DJ / 作詞家 / プロデューサー。
2000年、1stアルバム『イるreメ短編座』を発表。
自主リリースにもかかわらず音楽ファンの間で急速に広まり、各誌で特集が組まれるほどに。
唯一無二の声、独特のセンスで切り込まれる言葉とともに、先鋭的な音作りはひとつのジャンルではとらえきれない魅力をもち、その柔軟な音楽性から、精力的に行われる多彩なコラボレーションの中でも突出した才能を発揮する。
またヘッドセットマイクとサンプラー、ドラム等によるライブ・パフォーマンスは鮮烈で、ヒップホップ・ファンのみならず様々なシーンで絶賛をさらっている。
2004年までに、4枚のオリジナルアルバムを立て続けに発表。
その後もspeedometer.やECDとの競作アルバムなど、多数のコラボレーションを行ない、シンガー・二階堂和美/『二階堂和美のアルバム』では、全曲の作詞とプロデュースを担当。作詞家、プロデューサーとしても各方面で高い評価を得る。
07年、カクバリズム移籍後初となるフルアルバム『イルリメ・ア・ゴーゴー』をリリースし、「FUJIROCK」初出演。08年にはフランス、ドイツ、ベルギーなどを回る、初のヨーロッパツアーを敢行した。
昨年には6枚目のアルバム『メイド イン ジャパニーズ』を発表し、本名・鴨田潤名義での弾き語りLIVEや、GRIND DISCO名義でのDJなどの活動も開始。
2010年4月21日には待望の最新作『360° SOUNDS』をリリース!
Web site http://www.illreme.com
MySpace http://www.myspace.com/illreme
視聴室に入り、まずはご挨拶がてら、イルリメさんが高槻出身ということもあり(A&M視聴室は高槻にあります)、その辺りにも触れながら三浦社長にお話いただきました。
では、とりあえず何か一曲聴いていただきましょう。
今までは、まず三浦社長からジャズの名録音をかけていただいていましたが、今回は1曲目にイルリメさんもご存じの曲を聴いていただこうと思い、ビートルズのベスト、エルヴィス・プレスリーのベスト、ボブ・マーリーのベスト、マドンナのセカンド(この盤、実は興味深いエピソードがあるんですが、それはまた別の機会に)、それに加えて、前日の大阪でのライブで、開始直前にかかっていて印象的だったことと、何かとイルリメさんとの繋がりもある音源ということで、neco眠るの「Even Kick Soysauce」を候補にあげてみました。
その中からイルリメさんが選ばれたのは、プレスリーの「Love Me Tender」。
甘い歌声が、視聴室に響き渡ります。
イ「ドーナツが食べたくなりますね」
ああ、ミスター・ドーナツ的な(笑)。
さて……今の若い人は、昔ミスドでは古いアメリカン・ポップスが延々かかっていたことをご存じでしょうか。
ではここで、本日のオーディオ機器の説明をさせていただきましょう。
今回のシステムは以下の通り。
パワーアンプ:ATM-211×2
コントロールアンプ:ATC-3
イコライザアンプ:ATE-2005
CDプレーヤー:WADIA581
ターンテーブル:TRANSROTOR APOLLON TMD
トーンアーム:TR5009
カートリッジ:My Sonic Hyper Eminent
スピーカー:TANNOY Monitor Red
今回はリファレンスに代わって、モノラルアンプの二台使いです。
ベルトドライブのターンテーブルに興味を持たれたイルリメさん。休みなく回転するモーターをしばらく眺めて一言。
イ「めっちゃ頑張ってますよね」
三「ああ、めちゃくちゃ頑張ってるよ」
(笑)。
そこで、三浦社長からのターンテーブルの解説へ。
三「このターンテーブルが重ければ重いほど、駆動能力があって音が良い、低域がグッと出てくる」
……と、その横に置いてあったFAT BOB REFERENCE 80 TMDを指差し、
三「これはドイツのものだけど、ターンテーブルだけで……(イルリメさんに)ちょっと持ってごらん」
イ「(持ち上げようと手をかけて)……重たっ! 石臼みたいですね」
三「(笑)これだけ重たいと、軸受けが摩耗するんで、マグネットによって、かかる力が軽くなるように(マグネフロート)してる」
へぇー、と言いながらイルリメさんが目を付けられたのはターンテーブルに据え付けられた掃除用ブラシ。
イ「これ、掃除用なんですか。可愛いですね」
イルリメさん、目の付け所が違います(笑)。
ところで三浦社長、このターンテーブル、アルミの削り出しなんでしたっけ。
三「そう、これメッキじゃないんです。アルミの美しさを出すために、アルミの素地そのものを磨いて作ってる。だから指紋が付いちゃうと取れにくいので、我々も扱う時は手袋で扱うようにしてる」
イ「これ、どうしてアームが二つ付いてるんですか」
三「レコードの音を拾うカートリッジによって音が違うんです。それは、良いとか悪いとかいうのもあるんだけど、自分の好みの音、“どっちが好きか”っていうのを選べる。あるいは、“ロックはこっちのカートリッジがいい”“クラシックはこっちがいい”とか、個人の好みやジャンルの好みによって使い分ける人もいる、ということで二本あります。これ(APOLLON TMD)は、三本にもできる」
イ「これ、(二本)いっぺんに乗せたらどうなるんですかね?」
三「例えば“A”というカートリッジと“B”というカートリッジで比較する場合に、同じ音溝に落として、音の違いを楽しむことはできる」
へぇー、そういう風な使い方もあるんですねー。
そしてイコライザアンプの説明を経て、イルリメさんがお持ちくださったCDから一曲聴いていただくことに。
まずは、「昨日届いたんで持ってきました」と、イルリメさん自身もまだ一度も聴いていないというMoritz Von Oswarld Trioのライブアルバムをプレイ。
生音らしい打楽器のビートとシンセサイザーのループ音やエレピのフレーズが鮮やかに響き渡ります。
アンビエントっぽい浮遊感のあるビートが続く中、
イ「……これ多分ライブなんで、こういうのが1時間とか(続く)……」
(一同笑)
イ「いやでも、さすがに音、綺麗ですね。クッキリしてますね」
「こうやって聴いてたら、ボーカルが乗ってるやつ、聴きたくなりますよね」というイルリメさんからのリクエストで、続いてはこちらもイルリメさん持参のジョヴァンカ「WHILE I'M AWAKE」より“EVERYTHING”。
イ「いいですねぇ」
普段聴いてる感じと、どう違います?
イ「音がでかいですよね。やっぱり大きいスピーカーで聴いてるんで。なんか、音像がでかい感じですよね。ドラムの音の大きさ……音量って言うより、“あ、ドラムがこんなとこにあるんだな”みたいな臨場感があって。……“贅沢だな”って思いましたね」
ここで三浦社長から、歌もののレコードとしてメアリー・ブラックの「The Collection」より“The Moon & St. Christopher ”。
(この日、三浦社長がかけられた音源は、全てアナログレコードでした)。
イ「良い曲ですね」
音的にはどうですか、印象としては。
イ「やっぱり音の一個一個がデカく聴こえて、いいですよね」
結構、音のリアリティというか、生々しさみたいなものが感じられるような気がするんですけど。
イ「そうですね」
三「ジョン・バエズなんて、知ってる?」
イ「いや、知らないです。でも聴いてみたいですね」
ということで、前回かからなかった「Diamonds & Rust」より、表題曲。
イ「これ(視聴会)って、何枚も聴いてると、盤の違いが分かりますよね。明確に。“このレコードは中域が足りてる”とか。特に、これだけのシステムで聴くと」
イ「あ、そうなんですか。へぇー」
三「で、さっきの(メアリー・ブラック)が多分1965年ぐらい」
イ「えっ!? これ1965年なんですか!?」
その後で「最近の感じのアレンジに聴こえた」とおっしゃっていたイルリメさん、すみません……実はそうなんです。
これは三浦社長の記憶違いで、メアリー・ブラックは1983年デビュー(ちなみに1955年生まれ)なので、ベスト盤とは言え、1965年はあり得ません。80年代以降の録音でした。大変失礼いたしました……。
続いては、ECD「テン・イヤーズ・アフター」より“I Can’t Go For That”を。
聴き手を圧倒する破壊的なまでの凄まじい音。ヒップホップ、しかもECDがかかるというのは、A&M史上、前代未聞だったのではないでしょうか。
左チャンネルのスピーカーから歌が入った途端、スピーカーからECDの顔が飛び出してくるようなインパクトがあったんですけど、イルリメさん、どうですか?
イ「音の“パフォーマンス”が浮き彫りになりますね、こういうシステムで聴くと」
なるほど確かに。いやぁ、ド迫力でした。
ここで、この視聴会でお馴染みのハンプトン「STAR DUST」より、表題曲のソロパートを抜粋して再生。しかしこの日はモノ録音の盤が見当たらず、かけたのはモノラル音源をステレオに変換した「疑似ステレオ」盤とのこと。
イ「“魚を開きにした”みたいな感じですよね」
そんな感じですね(笑)。でも音はやはり素晴らしかったです。
イ「なんか途中で声入ってましたよね」
あれはハンプトンが唸りながら叩いてるんです。
イ「あれちょっと怖かったです」
(一同笑)
そろそろイルリメさんの音源、聴いてみましょうか。
聴いていただいたのは、最新作「360°SOUND」より“とらべるびいつ”。
イ「なるほどぉー」
いかがですか、ご本人として。
イ「スタジオで作業してたときに、これぐらいの音で聴いてたんで、その時しんどかったことを思い出しましたけど」
(笑)じゃあ、結構マスターの音に近い感じで鳴ってるんですかね。
イ「そうですね」
ここで前回も聴いていただいたフランク・シナトラの66年録音のライブアルバム「At the Sands」より“Fly Me To The Moon”。これは何度聴いてもかっこいいです。
イ「ダイナミックでしたね」
続いて、こちらも視聴会では毎度お馴染み、ノラ・ジョーンズ07年の録音「Live from Austin TX」より“Come Away With Me ”
イ「確かに最近の音って感じですね」
三「レンジも広いしね」
イ「そうですね。低音の迫力もありますし」
三「音のひとつひとつの分離も良いし」
イ「ライブの臨場感も出てます」
この盤は今のところ毎回かけてるんですが、その度に受け取り側によって感想が違うところも面白いなぁ……と、「視聴会の運営側」として思いました。
さて、CD/レコードと何曲か聴いていただきましたが、こういうオーディオ・システムで聴くということに、どのような印象を持たれましたか?
イ「CDとアナログの違いも分かりますし、こういうシステムで聴くと、ライブ盤の良さっていうのはすごく分かりますよね」
三「所詮我々はプレイする側ではないから、ミュージシャンが残してくれたパフォーマンスを家で楽しむわけです。ライブそのものを再現することは絶対にできないよね。だけど、それに近い、しかも自分の好きな感じの音で聴けたら……ということでお金使って機械買って、取っ替え引っ替えしながら自分の好みの音に変えていくっていうのが、オーディオの楽しみ方なんだけど」
イ「そうですよね」
三「それには一番元になるのは、まず“いい音楽ソース”。これからはデジタルの時代だし、デジタルで良い録音のものが欲しいな、と。ミュージシャンの方が、“こういう音を表現したいんだ”っていうことを、ミュージシャン側からレコーディング側にもっと希望を出していけば、もっといいソースになるんじゃないかな、と期待してる。アナログにはもう未来は無いから、デジタルにそれを望んでる」
と、三浦社長の方から、いつもの“レコーディング現場に対する思い”を話していただきましたが、実際プロデュースもされているイルリメさんは、その辺りどう感じられますか。今の録音の話とか、デジタルとアナログであるとか。
イ「アナログ(レコード)は、自分の周りでは、結構出してる人がいるので。多分その意見っていうのは、着うたとか、そういうケータイのダウンロードとかJ-POPのメインストリームの話だと思うんです。自分の周りもそうなって来てますけど、2年前にヨーロッパ等行って感じたのは、今までCDを出せてたマイナーなアーティスト達がCDを出せなくなっていたんです。出せてEP(アナログレコード)、それとデータ(配信)っていう感じになってきてる、っていう状態でした」
三「今、音楽を楽しむ傾向が、“歩きながら音楽を聴く”っていう人をターゲットにした音楽と、“自分の部屋で座ってじっくり聴く”ていう、“層”がだいぶ別れてきてるように思う。“座って聴くためのものに大金をかけるなんてくだらない”という考え方の人と、着うたでシャッフルして聴いている層と。そういう(着うたでシャッフルして聴いている)層に配信するソースが、例えば“ちょっとだけ聴いて感じがいい”ということを(レコーディングで)追求すると、普通よりもボーカルのレベルを上げてみたりというようなことが比較的あるんじゃないかと思われるんですよね。それが逆に座ってゆっくり聴いた場合に、(ボーカルのレベルを上げたりしたものとそうでないものでは)どっちが聴衆に感激を与えるような音になってるのかな、ということを考えた時に、僕はCDのソフト(の録音)が良ければ、LPに代わってCDに行ったと思うんですよね。それが、どちらかと言うとCDよりもネット配信に行くか、アナログLPに行くか、というところになっちゃってるのが非常に残念」
イ「うーん、CDは無くならないと思いますけどね」
三「無くならないとは思う。メジャー(レーベル)が配信に振り切らなければ、CDは残りますからね」
でも、CDにはもっと頑張ってもらわないと……というのが、三浦社長の思いですね。
今回、イルリメさんご自身のCDも聴いていただきましたが、実際受け手側の方が聴かれるシチュエーションって、iPodに取り込んで聴かれるという方も多いんじゃないかと思いますけど、今聴いていただいたような、スタジオで録ったレベルの音質で聴くという方は少ないと思われる中、作った音源をできれば良い音で聴いてもらいたい、というような思いってあります?
イ「っていうか、こういう状況で聴けること自体が無いですし、これで聴けることに越したことは無いんでしょうけど……」
現実的に難しい、ということですよね。
イ「そうですよね。だから普通にiPodとか、モバイルで聴いてる人たちも、そういう人たちが悪いっていうことじゃなくて、そういう状況でしか聴けないっていうことじゃないですか。住宅事情もありますし、経済事情もありますし、あと、このハード(オーディオ機器)が抱えているイメージもありますし。だから、例えばカラオケスタジオみたいな感じで、1時間1,000円とか500円でCDが聴ける、こういうところがあったら、行く人も沢山いるんじゃないんですか」
昔はロック喫茶とかジャズ喫茶とかがありましたが、いわゆるそういうためのスペースですよね。今はもう廃れてしまいましたが。
イ「別に、喫茶じゃなくていいと思うんですけど、そういうところがあったら、こうやってゆっくり音楽を聴くっていうのが趣向のひとつ、っていう風になるんじゃないかと思いますけど」
自分の家で、っていうのは……。
イ「こういう、オーディオにお金をかけるっていうのは、(昔は)オーディオのブームがあった様に思いますから。(当時の)経済状況ってのもあると思いますし、日本人はみんなお金を稼いで、テレビを持ったり、ステレオ持ったりっていう憧れがありましたけど、今はちょっと違いますよね」
この後も三浦さんから引き続き録音物に関するお話をしていただいたんですが、ここでイルリメさんから、決定的な一言が。
イ「スタジオ盤とか聴いてて思ったんですけど、やっぱ“生”を聴きに行ってますよ、みんな。で、(オーディオ全盛だった)時代に比べて、日本のライブハウス、ミュージシャンのクオリティが上がったんだと思います」
三「あー、なるほど」
イ「だから、(昔は)外国に憧れて、この盤がすごくいいな、っていう感じのことがあったんですけど、日本でもオーディオやPAシステムの発展で音が良くなって、ミュージシャンも外国と比較されても違わないようなレベルにまで来てるので、(家で聴かずに)ライブに行ってる、っていう感じだと思います」
家でレコードを聴くことよりも、会場に実際に足を運ぶ方に、エネルギーもお金も注入してる、っていうことですよね。
イ「そうです。だから、この外国の(盤の)“疑似”臨場感を、“本当の”臨場感を楽しみに行ってるということです」
三「昔はミュージシャンが外国まで行って、どこどこのスタジオで録音した、とかっていうのがひとつのステータスだったけど、今はそんなものはあんまり無いのかな」
イ「あんまり聞かないです。それは予算などお金の問題もあると思いますけど」
三「そりゃあ、そういう面では日本の方がデジタル(録音)だったら(海外よりも)非常にアドバンテージがありますからね」
イ「そうですよね」
さて、そろそろ終了のお時間が近づいてきましたので、最後にイルリメさん、何か1曲聴いていただきたいんですけども……。
イ「じゃあ、キセルを」
はい。では、キセルの最新作「凪」から“うぶごえ”を聴いていただきましょう。
……いやぁ、いい曲ですねぇ。
三「(今日)聴いた中では、CDのレコーディングの違いを聴かされたような感じの……」
イ「そうですね」
三「うん。全然違う。だからやっぱり、ミュージシャンの方から“この音だよ”というような思いが届くと、このレベルの音になってくるんじゃないかな。これなんか素晴らしい……シンバルひとつ取ってもビャッと立って聴こえる。別にオンマイクで録ってるわけじゃないんだろうと思うけど」
社長、じゃあこの「凪」、社長のお気に入りですか?
三「うん」
視聴会初! 社長お気に入りの音盤の発見です! なんかすごく嬉しい!
イ「あ、これ、気に入られました? じゃあこれ、差し上げます」
えっっ???
マネージャーの小林さんより
「ええ、全然大丈夫です。うちから出してるものなんで」とのお言葉。
というわけで、カクバリズム様より、キセルの「凪」、いただきました!!
三「サインしてくださいよ」
イ「俺じゃあないんですけど(笑)」
ちょ……社長!(汗)
……とまあ、そんなわけで(苦笑)、最後は和やかな雰囲気の中、イルリメさんと小林さんが三浦社長をiPhoneで撮影したりしながら、三回目の視聴会も、なんとか無事(?)終了いたしました。
今回はイルリメさんから非常に貴重なお話を沢山お聞きできました。
「音楽ファンはみんな、家で音楽を聴かずに“生”の現場に行っている」……このような話が、この「ピュアオーディオ視聴室」という場所で聞けたのは、このイベントにとってもすごく価値のあることだと思います。
我々、そしてA&Mは、「若い音楽ファン」に啓蒙しながら、実は若い音楽ファンは「ライブに行く」ことで満足を得ている、というアンビバレンスに立ち向かわなければいけないという側面があるわけです。
そもそも、イルリメさんがおっしゃっているように、今の若い人が数十万〜数百万するオーディオ機器を買うなんてことは、ほぼあり得ないでしょう。だから高級オーディオ機器は、個人ではなく、例えばカフェやイベントスペースなど、「人が集まる場所」に導入してもらう、というのが主な販路になり、昔のジャズ喫茶の役割を引き継いでくれればいい、と思っていたので、「1時間1,000円とか500円でCDが聴けるところ」というお話は、すごく共感いたしました。
というわけでイルリメさん、色々不手際ありましてどうもすみませんでした。そして、本当にありがとうございました!
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