アサヒステレオセンターに“オーディオの買い方”を訊いてきました
これまでA&M視聴室で「“いい音”を聴こう!ピュアオーディオ視聴会」を行ってきて、毎回ゲストの方々には“いい音”を楽しんでいただいているんですが、何せ視聴室の機器は数十万〜数百万クラスの「高級機」ばかり。音が良かったからと言って、実際これを自分で買うかと言うと……まあ、なかなか買えないですよね。
でも、前回三浦社長がおっしゃっていたように、「決してお金をかければいい、というものではない、問題は使いこなし」ですから、もっと現実的な予算で“いい音”を楽しむことは出来るわけです。
ただ、そんなことを繰り返し言っていても、「じゃあどこでどう買えばいいの?」「つまるところ、いくら払えばいいの?」ということへの解答にはなりません。
そこで今回は、具体的な「お金」の話をします。
“音の値段”の解明です。
というわけで、「初心者にも優しく説明してくれるお店」・大阪は日本橋の老舗オーディオショップ「アサヒステレオセンター」にお邪魔して、「オーディオの知識の少ない若者がオーディオを買う方法」をお訊きしてきました。
初めて足を踏み入れましたが、店内には、新品から中古品、アナログからデジタルまで、所狭しと並んでいます。
社長の梅川さんにご挨拶がてら視聴会の趣旨などをお話しした後、“オーディオの買い方”について、具体的にお伺いしてみました。
とりあえず僕の方から「なんとか毎月貯金をして、小遣いをかき集めて、15万円の予算を用意した」と仮定して(実際は一銭もありませんが・笑)、その金額で“いい音”で聴けるオーディオシステムが買い揃えられるのか訊いてみました。
梅川さん(以下“梅”)「やっぱりスピーカーにお金をかけた方がいいですね。大事なのは入り口(音源)と出口(スピーカー)ですから」
スピーカーが一番音の違いが出るというわけですか。
梅「アンプやCDプレーヤーだと、1万円台から5万円台までの音の差は殆どありません。5万円台から、次に音の違いが感じられるのは、次は10万円台になります。でもスピーカーだと、お金をかけただけ音が変わってきますから。15万の予算だったら、10万くらいでスピーカーを買って、残り5万でアンプとCDプレーヤーを買った方がいいでしょう」
なるほど、少ない予算で“いい音”を求めようと思うと、まずはスピーカーというわけですね。
梅「安いミニコンポの音が悪いのは、あれはスピーカーが悪いからなんです。だから、ミニコンポを使ってる人であれば、スピーカーを5万円位のものに変えただけでもすごく音は良くなりますよ」
えっ、ミニコンポってスピーカーが駄目なんですか。てことは、ミニコンポ持ってる人なら、15万と言わず5万、10万で“いい音”になるかも知れないわけですね。
うちもミニコンポがありますが、あれは家族用のものなので、やっぱりアンプも欲しいな。
アンプは、プリとメインが別れたものを買った方がいいんでしょうか。それとも一体型のプリメインアンプの方が……。
梅「それぐらいの価格帯のものなら、プリメインアンプの方がいいです。その価格帯の機種はプリとメインで分けることでにお金がかかってしまっているので、最初からプリメインとしてパーツを厳選して作った製品の方がいいですね。だから、数万円のものなら、プリとメインを別々に買わないほうがいいです。プリメインでも、各メーカーが3万円台のものから出してますから」
……と、マランツのカタログを見せてもらいました。最低価格は35,000円。ほほー、なるほど。
梅「iPodで音楽を聴くなら、CDプレーヤーを買わずに、“スピーカー+プリメインアンプ”でもいいですよ」
あー、そういう選択肢もあるんですね。
ということで勧めてもらったのが、BlueroomのThe minipodというスピーカー(青いスピーカー)とAUDIO ANALOGUEのPRIMO(写真右上)というプリメインアンプ。実際にこのセットでなっている音を聴かせてもらいましたが、確かにすごく良い音でした。店頭価格でスピーカーが67,000円、プリメインアンプが109,000円。合計176,000円也。ちょっとオーバー……。
ところでピュアオーディオの世界でよく聞く話なんですが、このぐらいのアンプでも、かける音楽のジャンルなどによって鳴り方が違うとか、いわゆる「ソースを選ぶ」ってことはあるんですか。
梅「いや、ほとんど無いですね。あえて言えばポップス寄りとは言えますが」
これぐらいの価格帯ならそんなにシビアに気にしなくても良い、ということみたいですね。
ところでiPodはどうやって繋げるんですか。
梅「普通にピンジャックからオーディオケーブルで繋いでもらえば。より高音質で聴きたいなら、iTransport(写真中央)などを使えばiPodからデジタルのまま聴くことが出来ます。まあ、完全に劣化無く聴こうと思うと、DAC(=digital to analog converter デジタル信号をアナログに変換する機器)が必要にはなりますが」
うーん、iPodだけで再生……となると、ちょっと心許ない。とは言え、CDプレーヤーがあっても、今はiTunesにリッピングしてパソコンかiPhoneで聴く、という習慣になってるから、なんか“CDをかける”という行為もそんなにしないかもなぁ。音楽配信も聴くし……。
パソコンで音楽を聴くとしたら、どんなものが考えられますかね。
梅「スピーカーとプリメインアンプに加えて、パソコンの音をUSB端子から出すためのUSB DACが必要ですね」
と、お店にあったRAL-2496UT1を見せてくれました。アナログだけではなく、デジタルでの出力もついているので厳密にはDACではありませんが、要するに、パソコンの音をアンプに受け渡すものですね。
梅「現品で置いてあるものなのですが、これならUSB DACも内蔵してるプリメインアンプです」
と見せてくれたのがT2(写真右端)というプリメインアンプ。おおっ、これはバッチリじゃないですかっ。
現品価格で70,000円。
さらに先ほど紹介してもらったBlueroomのThe minipodが67,000円。
合計137,000円也。やった、15万円に収まった!
……いや、勿論持ち合わせは無いので買ってはいないんですが、思わず財布をまさぐり、VISAカードを出しそうになるのをこらえるのに必死でした(笑)。
さて、今日は本文中には無い色んな話も訊かせていただいたんですが、そんなこんなを含めてまとめてみます。
“オーディオの買い方”の予算に関しては、
「15万あれば“いい音”は聴けます。出来れば20万ぐらいまでの振り幅があればベスト。でも、家にミニコンポがあればスピーカーのみの買い替えだけなので5〜10万、パソコンで聴くならアンプとスピーカーで10万強」
というような感じですね。
そして、“オーディオの買い方”の基本は、「お店の人に相談してみる」ということ。
聴く音楽の種類や好み、環境によって“ベストな選択”は変わってきますから、自分の持っている条件を伝えて、自分にとってのベストなオーディオ環境を見つけましょう。
さて、いかがだったでしょうか。少しは“オーディオ機器を買う”ことに現実味が出てきましたか?
アサヒステレオセンターは、見た目は敷居の高い感じに見えますが、実際は全然そんなことありません(今は無きアルケミー・ミュージック・ストアに入れた人なら超余裕です・笑)。
とても親切丁寧に説明してくださいますし、好みや予算に合わせてお店の方から提案してくれて、勿論それを実際に聴かせてもらうこともできますので、当ブログの一連の記事を読んで「オーディオのことがちょっと気になってきた」という方は、気軽に足を運んでみてください。
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